コロナ危機でも出歩く若者と『乱反射』との共通点

最近,無症状感染者が町へ出歩いていることが,爆発的な感染拡大を引き起こしているという記事を読んだ。無症状感染者には,コロナウイルスをまき散らし,人を殺している自覚がない。「これくらいいいだろう」というちょっとしたマナー違反が,他人を死に追いやっているのだ。

ちょっとくらいいいだろう,というマナー違反が他人を死に追いやることを,『乱反射』では上手に描写している。以降,備忘録。

 

・主人公の子供は,風にあおられて倒れてきた街路樹の下敷きになってなくなってしまう。

。この不運な事故は,防ぐことのできない天災ではなく,人災であることを主人公は突き止める。

・街路樹が倒れた直接の原因は,街路樹の手入れをしていた業者の職務怠慢であるが,その業者が街路樹をチェックしなかった理由は,街路樹の根本に犬のふんが落ちており,重度の潔癖症である業者はその街路樹に近づくことができなかったからだ。

・犬のふんが街路樹の根本に放置されていたのは,犬の飼い主が腰痛もちであり,腰をかがめてふんをひろうことができなかったため,「ちょっとくらいいいだろう」とふん片づけなかったからである。

・そのほかにもいろんなひとのちょっとしたマナー違反が重なって,この子供はなくなった。

 

自分がウイルスを持っている前提で,絶対に不要不急の外出をしないようにしなくちゃね。

乱反射 (朝日文庫)

乱反射 (朝日文庫)

  • 作者:貫井徳郎
  • 発売日: 2011/11/04
  • メディア: 文庫